2008年07月28日

夏草


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   夏草

夏草が伸びて夏木立に絡まる
蔓草が伸びて植木に絡まる
露草 コスモス 名も知れぬ草
伸びる 伸びる

みみずがアスファルトにはいだしてくる
息絶えて蟻が集(たか)っている
いくつものひからびたみみず みみず
空には黒い鳥が舞っている

生命力 生命力
夏の大地がたけっている
強い太陽 真昼の暗黒
草は生長せざるをえなくて生長し
みみずははいずり出さざるをえなくてはいずり出す

生命力 生命力
夏の大地がたけっている
オレンジ色の山百合
去年にはなかった花
斜面の叢においしげる
オレンジ色の模様をもった黒い蝶が
山百合のまわりを飛びちがう

夢か現(うつつ)か風景が歪む
ばら色でもなく悪夢でもなく
謎といえば謎だろう

生命力 生命力
夢を生み出す力が働いている
夏うぐいすが鳴いている

       (20.7.25.)

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2008年07月22日

堆積


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   堆積

雲が溢れて雨を捨てる
心が溢れて歌を捨てる
大地が溢れて生命を捨てる

捨てられた生命たち
捨てられたことも知らずに
無邪気に飛び回っている
百年の間

大地は死ぬことがない
少なくとも何億年かは
捨てられた生命はわずかな時を生き
そして虚空と
大地に還っていく

生きていた者の記憶
死んでしまったものの記憶
それは大地に堆積し
熱をもって
全く別の生命を生み出す

ぼくが全然
ぼくの知らない人であるのは
仕方のないことなんだ
ぼくの知らない記憶の堆積から
ぼくは生まれてきたのだから

         (20.7.16.)

参考:谷川俊太郎『62のソネット』39

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2008年07月13日

ことばたち


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   ことばたち

 

明け方の眠りと目覚めのさかい目に
やってくることばたちがある
波のように打ちよせ
そして引き
からだのいたみや
心の不安をたねにして
ことばになっては崩れ
深刻さを装い
凝固し
そして溶け出していく
ことばはこころの海からやってくる
無意識の大海から
打ちよせるわずかな意識が
手あたりしだいに言葉をつかまえ
意味をもつふりをする
目覚めのおそい朝
ぼくはカーテンをしめたまま
紙とえんぴつをさがしてことばをかきつける
生まれてはすぐ消えてしまう夢のような無意識を
ことばにすることが今の私の仕事だと
仕事だと
そんなに気負いこんでいいものなのか
羞恥心ととまどいが別の波を呼ぶ
詩は
人のすべてをたねにして
よろづのことのはとなりける

川の流れがきこえる
目覚めとは
内部の感覚から外部の感覚へ
バランスが移行していくこと
昼も夜も
私は目覚めと眠りを往復し
詩を書き続けている

             (20.7.9.)

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2008年07月07日

夢魔の言葉


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   夢魔の言葉

宇宙が広がり始めたのは
昨日からじゃない
新しいことは
あるもんじゃない
ぼくらは
歩かない
足元にやみを吐き出し
罪の石に躓かない
やみは
一つじゃない
ぼくらも
一つじゃない
覆われて
ぼくらは見えない
けれど
ことばを一つ
忘れない
ちっけった

深刻な人たち
相談している
てるてる坊主が
相談している
結論は
いつもシンプル

罪の
罰の
阿鼻の
叫喚の

悪夢はない
人は人
夢魔は親しい
人は
見知らぬことばを口ずさむ
あいうえお
言葉は
豊かになった

歩いていって
目の前に
人の世は
夢魔の言葉
もう滅びている
人の世は
バクテリアが
増殖している
次があるとは
限らない

人は詩を導く
確かな言葉を
人は知らない

ぼくは書かない
知らぬ間に
脅かされている
ぼくより
早く走る

追いつく前に
しでかしている

駆け抜けるころ
ここにいる
ぼくは

考えている間に
砂漠に
化石が

ふるさとまとめて
勝って
悔しい

           (20.7.7.)

posted by kous37 at 19:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記