井戸を掘る
梅雨の晴れ間の青い空も
重たく茂ったプラタナスの広い葉も
私に井戸を掘らせる
街頭に吹く白い風も
太陽を反射するビルの高い窓も
私に私の奥底に井戸を掘らせる
井戸を掘る
私はただ掘り続ける
言葉という道具で
心という道具で
行動という道具で
そして無という道具で
私の大地は乾いている
植物の少ない荒野原
私は井戸を掘り続ける
こんこんと泉が湧き出るまで
過去を振り返るのはやめよう
他人(ひと)に左右されるのはやめよう
激情や衝動に流されるのはやめよう
私はただ
ひたすらに掘り続ける
新しい
心を動かすものに出会ったら
私はそれで井戸を掘ろう
井戸を掘るのに役立たないものに
かかずらうのはやめよう
少し掘れば少し
多く掘れば多く
私は私の泉に近づくことができる
井戸は私を潤すだけでなく
私のまわりの人々を潤す
私のまわりの世界すべてを潤す
でも私の井戸を掘ることが出来るのは私だけ
ただひたすらに掘り続けなければならない
小石を拾い
土をかきあげ
釣瓶で土を引っ張り上げ
私はただ奥へ、その下へと向かう
水脈に出会ったら
言葉が流れ出すだろう
思想が流れ出すだろう
思考が氾濫するだろう
そして多くの人々の心が潤されるだろう
私は夢見る
そして掘る
言葉という道具で
思いという道具で
詩という道具で
そして 無という道具で
